83『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

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蒟蒻のさしみもすこし梅の花  芭蕉
 

 この句は芭蕉の弟子呂丸への追悼句だそうだ。露丸は元禄6年(1693年)旧暦2月2日に去来宅で急死したそうな。史邦編の俳諧撰集「芭蕉庵小文庫」所載とある。句意は比較的わりやすいのだが、下五梅の花が角川俳句大歳時記に無いのだ、講談社新日本大歳時記にはあった。こう言う当たり前に思ってることが外れるとまいる。春の頃露丸へ供える蒟蒻のさしみをすこし分け合うのだ、師弟愛というには寂しい交歓である。



16 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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雨の中に立春大吉の光あり  虚子
 

 天気は雨であるが、立春の喜びが溢れた句である。我が家の周りはまだ雪で覆われている。ひどく寒い日が続いているので春立つ今日という日が余計に光り輝いて見える。大吉の光と言い切ると裏を感じるので慎みたい。例会の日、17名の名が記されている。大勢の仲間で立春を喜び合っている、それが素晴らしい。




 









 

『名句の所以』(著:小澤實)を読む

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老人のかたちになつて水洟かむ  八田木枯
 

 老人が老人の形になって水洟をかむ場合と老人ではない人が老人の形にになってする場合がある。私はこの場合前者、すなわち老人が、の場合だと解する。自分が水洟をかんでいかにも老人として振る舞っているなあ、と詠嘆する方が自嘲的とはいえ自分の形を楽しんでいる余裕があるではないか。それに反して例えば若者であった場合、いかにも自分がじじ臭いと同じ自嘲であっても老に対する嫌悪が強くはないか。


ギャラリー
  • 2021年(平成23年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
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  • 55『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む 
  • 『名句の所以』(著:小澤實 毎日新聞出版)より
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  • ㊼『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む
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