元日は田毎の日こそ恋しけれ 芭蕉
『芭蕉の風景』(上)p301小澤實 『ひととき2015・1』ウェッジ『新芭蕉俳句大成』明治書院p288
芭蕉はなぜ、「元日に」「田毎の日を」「恋しい」と言うのか。
本来は姥捨に見る棚田の田毎の月こそが素晴らしく美しい景なのであるが、元日に見るのは田毎の月ではなく田毎の日の出で、それは田毎の月にも増して誠に恋しい。という句立てなのだと思います。言い方を変えると西行は姥捨の山、棚田 田毎の月を恋しいと詠み、芭蕉は姥捨の月を元日の田毎の日として恋しいと詠んだ。つまり芭蕉は元日の姥捨の田毎の日を思いながら西行の気を激しく恋しく感じているのであると思います。