少将のあまの咄や滋賀の雪  芭蕉
『芭蕉の風景』(下)p171 小澤實『ひととき2013・1』ウェッジ『新芭蕉俳句大成』明治書院p524
大津に弟子の智月を訪ねてこの一句。この「少将のあま」とは鎌倉初期の女性歌人、藻壁門院少将のことであるらしい。「雪の降る滋賀で藻壁門院少将の咄など智月さんとしたことだよ。」ほどの句意のようだが一読、あたりが優しい。「滋賀の雪」も明るく晴れやかである。その上にあなた様と「咄」をして楽しいひとときでしたねえ。と穏やかなさらなる師弟の交歓が偲ばれる。芭蕉死後の旅装束などもこの智月さんがお世話されたとのこと、なるほどである。