2022/5/4
杜若語るも旅のひとつ哉
『芭蕉の風景』(上)p244小澤實 『ひととき2015・5』ウェッジ『新芭蕉俳句大成』明治書院p222
旅に出て目にする美しいものはなおさらであるが、例えば杜若にしても立止まって語り合うのもまた旅ならではの味わいがあって良いものである。
貞享五年(一六八八)旧暦三月吉野で花見をした芭蕉は、高野山から和歌浦、奈良、(初めての)大坂に出ている。紀行文『笈の小文』の旅である。杜国(乱菊丸)同行。大坂に滞在中、保川一笑、杜国と連句を楽しんでいる。その際の発句が掲出句である。