糸電話古人の秋につながりぬ   697A356F-E7D1-4521-9371-EEC47AFB63A9

この糸電話は幼い頃、誰しも一度は手にして遊んだことがあるのではないだろうか。この言葉は、俳句の上五に据えると郷愁を誘う生活上の「物」となる。その郷愁とは幼い頃の友達やふるさとと言った懐かしい声に通じるものである。

この句さらにそれが古人の秋につながった、という。この場合の古人は故人ではないので身近な亡くなった人ではなく遠く尊敬する同門の著名な俳人ではないだろうかと思う。糸電話という懐かしい玩具から同じく懐かしい古人への思い出に繋がったところにはきっと懐かしい一句があるように思えてならない。この懐かしさを凝縮し得たところにこの句の名句たる所以があるのだと思う。