Ryo Daimonji Blog
獺の祭見て来よ瀬田の奥 芭蕉
獺魚を祭るが春の季語。僕にとって初めての季語だった。獺はとった魚を岸に並べてから食べるようだ、それを獺の祭りと言ったそうな。なんとも良い例えではないか。なお、子規が獺祭書屋主人と号したのはこの季語にちなんでのことらしい、多くの蔵書を並べる様が獺が魚を並べるのに似ているからとのこと。これもまた粋な例えである。
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糸遊に結びつきたる煙哉 芭蕉
元禄二年(1689)旧暦三月『おくのほそ道』『俳諧書留』(曾良 所載。
糸遊は陽炎のことで春の季語である。その陽炎に煙が絡みついているいかにも春らしい景を詠んでいる。ところがこの「煙」は歌枕「室の八嶋」との深い関連がある。木の花咲耶姫が煙に包まれた室で火々出見の尊を産む神話によるのである。
普通に読んでそこまで理解できる人はまずいまい。したがってこの句、芭蕉はおくのほそ道には入れていないとか。なるほどである。