2022/2/5
此山のかなしさ告よ野老堀
『芭蕉の風景』(上)p33 小澤實『ひととき2018/2』ウェッジ『新芭蕉俳句大成』明治書院p418
まづこの句を読んで、「この山」とは何処のなんと言う山なのか、そしてその山にまつわる「かなしさ」とはなぜなのか、「老野堀」とは何を意味するのか気にかかるところである。「この山」は伊勢にある神宮寺の菩提山。当時の荒廃を悲しんでいる。野老堀とは山野に自生するヤマイモ科の蔓性植物を食用に掘る人のこと。「堀」は堀の間違い。
野老を掘る人よ、この山(菩提山)の悲しみを語っておくれ、の意味である。