2022/3/24
花見にとさす船遅し柳原 芭蕉
『芭蕉の風景』(下) 小澤實p304『ひととき』 ウェッジ2016/3『新芭蕉俳句大成』明治書院p820
この句には「柳原」という地名を巡って説が分かれている。一説は「柳原堤の末にあったことに由来する」とするもの。もう一説には「橋のたもとに柳の樹があったことに由来する」とするもの。とである。
さらに、この句には船に乗って船上で詠んだものか、藩邸で詠んだものかの説も分かれる。私にはいずれとも断じる根拠もない。ただ中七の「さす船」が竿をさす意味にはなかなか取れなかった。「花見に向かう、舳先」と解してもその速度を言うのであれば、それでも良いように思えたのである」。