2022年10月

2008年(平成20年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より

Ryo Daimonji Blog

小石打つ枯木バットや天気よき
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51『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

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口切に境の庭ぞなつかしき  芭蕉


 歳時記によるとその年の新茶を茶壷に詰め、秋を越して(立冬の頃)炉開きとともにその封印を解くことを「口切」といい、茶道における正月を意味するとある。「境」は堺のことか。堺といえば連想するのは「利休」である。堺の庭での野点の茶会を思い出したのか、芭蕉に利休。何やら似たものを感じる。

 私は、京都の平野神社で澤のみんなと句会の後花見酒を飲んだことを思い出す。



 
 

『名句の所以』(著:小澤實  毎日新聞出版)より

Ryo Daimonji Blog 『名句の所以』(著:小澤實p199  毎日新聞出版)より 

金剛の露ひとつぶや石の上  川端茅舎

 金剛とは、この上なく固く強いもの、例えば仏像であったりその素材である鉄や石など、場合によっては精神的なものの強いことのたとえなどを連想する。作者は本来なら脆弱な石の上のひとつぶの露に真逆に強靭な金剛性を見出している。完璧な感覚的な例え、そこに名句の所以がある。

2008年(平成20年) 秋 大文字良 第一句集『乾杯』より

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紅葉とともに滑りくる児や滑り台
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㊿『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

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ふり売の雁ン哀なり夷講  芭蕉


 この句、「ふり売」の意味がわからないのでいくら考えてもピンとこない。見ると、「ふり売」とは、売り物を手に提げたり、担ったりして、声を挙げながら売り歩くこととあった。それならばわかる、なん羽ほど持ち歩いているのか知らぬが、芭蕉の目の前を肩にでも提げられた雁が死に絶えた首を左右にしながら行くのだろう。その様が目に浮かび確かに哀れである。と同時に夷講の賑わいがその景に不思議とマッチしてエネルギッシュにいつの世も過ぎてゆくのである。

参照: 『芭蕉の風景』(下)小澤實  p295 『ひととき』ウエッジ2015/11 『新芭蕉俳句大成』明治書院p918

 

ギャラリー
  • 2012年(平成24年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
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  • 2021年(平成23年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
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