2022年11月

『名句の所以』(著:小澤實)を読む

Ryo Daimonji Blog 

しぐるるや駅に西口東口  安住 敦

 

 出口を東西南北で示すところは多い。多くは南北の場合が多いがこの句、西口東口を示す。大きな駅なのだろう。この駅、地下鉄のそれではないのか。すっかり迷ってしまったではないか。そうなんだ、こういう句は何を言うでもなく、何を写生するわけでもない。読み手に何がしかの感覚を思い起こさせる、多くは虚無感に満ちた青春性のことだ。


 

62『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

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春なれや名もなき山の薄霞  芭蕉 
 

 春ですねぇ。名もない山の薄霞さえのんびりと穏やかで心地よいです。ほどの意味だろうか、いつ、どこで、誰と、どのように詠まれたのかわからないが、のどかな春の景色や温度、気分までも上五「春なれや」で伝わる。


2012年(平成24年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より

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猪狩の間髪 入れぬ二発めぞ
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『名句の所以』(著:小澤實)を読む

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眉の根に泥乾きゐるラガーかな  三村純也 


 眉毛ではなく「眉根」である。一歩さらにラガーに近づく。泥乾きたるでなく「乾きゐる」である、まるで生き物を発見したかのように泥の存在を突き示している。つまるところ、ラグビーという運動の激しさとそれに耐え抜くラガーの逞しさに単に感心しているのではなく驚嘆しているのである


61『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

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海くれて鴨のこゑほのかに白し  芭蕉

 山里育ちの私は鴨の声を日常的に聞くことはほぼない。しかし今はネットがある、早速聴いてみる。まあ鴨の声って色彩で表すにはダミ声にすぎる、白い、というならもっと透明感のある声であってほしい。だが、強いて解するなら、海鴨って人間でいうならサーファーぽいと思う。潮焼けした声。そう、塩をイメージに聴くと「白し」かもしれない。


 

ギャラリー
  • 2012年(平成24年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2012年(平成24年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2012年(平成24年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2011年(平成22年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2011年(平成22年) 冬 大文字良第一句集『乾杯』より
  • 2010年(平成22年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2021年(平成23年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2021年(平成23年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2021年(平成23年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より