2022年12月

④定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

Ryo Daimonji Blog  

柴漬に見るもかなしき小魚かな  虚子

 俳句の勉強が一生もんだと言うことは誰よりも知っているつもりだった。「柴漬」僕の持っている「角川俳句大歳時記」にも「講談社新日本大歳時記」にもな・い。その後ネットで「ふしづけ」と読むのであり、各々歳時記でも確認できた。これにより「柴漬」と言う漁法も知り得たのであり、この句の「みるもかなしき」の意味もよく分かったのである。通常、知らないことを知るのは大変嬉しいことだが、この度は赤面を覚えるほどに恥ずかしかった。お陰で、二度とわすれないだろう。


69 『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

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いざさらば雪見にころぶ所迄  芭蕉
 

 なんとも楽しい俳句である。親しい友と興じた後で、名残惜しいがさあお別れだ、雪見を兼ねて見送るとしましょう。ただし雪に足を取られてころぶところまでとしましょうね。いざ。


『名句の所以』(著:小澤實)を読む

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この枯れに胸の火放ちなば燃えむ  稲垣きくの


 草や木が枯れ果てたこの冬の野や山に私の胸の内に燃える火を放てば燃えるに違いない。「業火」と言う言葉が浮かんだ。作者は何にこれほどの火を燃やしているのか。恋焦がれる火ならば浅ましくはあるがまだしも生命力を感じる。恨みや憎悪のそれであってほしくない。枯れるとはそういったすべてを越えた美である筈だ。








 

 


③定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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蒲団かたぐ人も乗せたり渡舟  虚子
 

 日本中の大きな川には渡し舟があって多くは舟で、あるものは人が担いだりして渡したものであろう。この句は渡し舟を詠んでいる。しかもこの舟は蒲団を肩に担ぐひとを乗せたらしい。今で言う引っ越しで家財一式を渡し舟で運ぼうとしているのだろう。なんとも生活臭溢れる活気あるひとこまである。


 

68『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

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磨きなほす鏡も清し雪の花  芭蕉
 

 鏡に己が姿を写ししばし見入るということは、単に着衣をチェックするということにとどまらず誰しもするところであろう。時に鏡の曇りや汚れといったことには特に気になるところである。朝から始めた鏡磨きであるが、ほぼ出来上がったと言える。おりしも降り出した雪の花にも負けず劣らぬ磨き上がりとなった。美しいのだ。


 


  


ギャラリー
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