2023年04月

68『名句の所以』(著:小澤實)を読む

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生別もいづれ死別や春の水  山本紫黄
 

 この句の中七「いづれ死別や」に「どうせ死ぬんやから」と生を前向きに捉えるきっぱりした勇気と解したい。

「生を明らめ死を明きらむるは 仏家一大事の因縁なり」と曹洞宗経典「修証義」は始まる。春の水のように生まれ、春の水のように流れ去って行く。そんな人生でありたい。


32 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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斯く翳す春雨傘か昔人  虚子
 

 この句を読んで「春雨じゃぬれて行こう」という台詞がうかんだ。月形半平太が傘を差し掛ける舞妓に言った台詞とあるが、この句の昔人はどんなふうに翳したものであろうか、ともあれ相合傘にせよ春雨にさす傘には風情がある。



100『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

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大比叡やしの字を引て一霞  芭蕉
 

 比叡山に霞が細く一筋、しの字のようにたなびいている。と言ったことのようだ。

これには『一休咄』(寛文八年)の典拠があり、一休さんが比叡山の僧に大文字で、長々と、読み易くと乞われて書いた書が比叡山から麓の坂本までの「し」であってそのことを踏まえた句のようである。大景にまつわる一休さんの話が、いかにも昔話のようでとても暖かい句となった。


31 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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ものの芽のあらはれ出でし大事かな  虚子
 

 ものの芽であったり木の芽であったり、春は、芽吹の季節である。言い換えれば春のあたりまえの現象である。北原白秋は薔薇が咲くのをなんの不思議ではないがとその美しさを詩ったが,虚子はそれを大事であると言い放ち、かなと詠嘆してみせた。季節のあたり前に毎年驚かされるけふこの頃である。


67『名句の所以』(著:小澤實)を読む

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火にのせて草のにほひす初諸子  森澄雄
 

 諸子が琵琶湖で有名なことは知っていた。それと子供の頃の雑魚とりでも諸子はいた。大きいのがいないので僕たちの中でのお魚ランクは低かったと思う。この句火で焼いて食べるのか、一人キャンプでやれば一口サイズでうまそうだ。僕たちには草の匂いは珍しくはない。


ギャラリー
  • 2012年(平成24年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
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  • 2011年(平成22年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2011年(平成22年) 冬 大文字良第一句集『乾杯』より
  • 2010年(平成22年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2021年(平成23年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
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