2023年05月

38 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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鵜飼見の船よそほいや夕かげり  虚子
 

 昭和二年六月、大阪毎日、東京日日新聞社募集の日本八景の選抜委員を委嘱され、その候補地を視察するため岐阜に至り、長良川の鵜飼を見る、とある。

 観光客用に鵜飼を見る船が飾られていてそれが夕暮れの日に映えて美しく趣きがある。八景に選ばれたのだろうか。


74『名句の所以』(著:小澤實)から

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74  葉桜や人に知られぬ昼あそび  永井荷風

 この句の昼あそびとは、酒色に耽る茶屋遊びのことのようだ。それはそれで結構なのだが、そう言った世界を句にして世間に公にすることがわからない。それが文学たる所以だよ、と小粋に言われればそれもそれでよいのだが。

 



4 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

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杜若にたりやにたり水の影  芭蕉
 

 水に写った杜若の姿はまさにそのままそっくりに「かき=描き」写されていることだろう。としゃれの技法を強調する説、水に写った杜若と本物が似ているのは当たり前で、この場合杜若とあやめが似ていることを強調しているとする説など。水に写っているあやめは実に杜若によく似ている、と私は解する。




37 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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セルを著て病ありとも見えぬかな  虚子
 

 病院着か外出着なのかはわかないのだが、セルの装いに病のある人とはとても見えない様子が窺える。おそらくは予断を許さぬ重病をお持ちの方なのではないだろうか。






73『名句の所以』(著:小澤實)から

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五月わが部屋を光の箱にして  細谷喨々

 野山に新緑の芽吹きが満ち、日の光さえ惜しみなく命の輝きを降り与える五月である。私ごとき生命力の弱い者の棲家をさえ、光の箱にする日の素晴らしさよ。一本の菖蒲を瓶に挿し祝うのだ。


ギャラリー
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