2023年09月

71 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

 Ryo Daimonji Blog
 

ぱつと火になりたる蜘蛛や草を焼く  虚子
 

 草を刈って後その草を焼くということはよくするところである。その草に紛れて秋の虫や蜘蛛も燃やしてしまうこともあるだろう。しかしこれほど明確に火になる蜘蛛を認識することはない。見事である。


108 『名句の所以』(著:小澤實)から

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大雪渓踏み跡一路汚れなし  岡田日郎
 

 この大雪渓の所在は前書きから「木曽駒ヶ岳」長野県南部、木曽山脈の主峰にあるようだ。その雪渓に一筋に踏み跡が続いている。単独行の跡ではなく多くの登山者の踏み続いた足跡であるらしい。その景を汚れなしとくくる。人によるものだが、泥などの汚ればかりか人間存在の汚れさえもないのである。



38 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

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小野炭や手習ふ人の灰ぜせり   芭蕉
 

 「小野炭や手習ふ人の」この意味するところは、小野の道風のように火鉢の灰で手筆を使う人の灰ぜせりが面白く風情があるなあ。と言ったところのようだ(小学館 芭蕉全句p42)。上五小野炭だけでここまでの意味を表すというのは、凄い省略と思う。

 


70 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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浦安の子は裸なり蘆の花  虚子
 

 現在の浦安市は、千葉県の北西部に位置する市で東京ディズニーリゾートのある街としても知られる人口約16.9万人の大都市である。探せば裸の子もいようが、蘆の花そよぐこの浦安は昭和六年十一月とある。

 



107 『名句の所以』(著:小澤實)から

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天牛の髭の先まで斑を持てり  伊藤伊那男
 

 確かに天牛には背中から髭に斑があるものがある。それが白い点であったりするのだが、それは「どんな彫刻家も作りだすことのできない繊細な動く造形である。」(小澤實p150)「斑を持てり・斑のありぬ」斑を持てりがいいと思う。


ギャラリー
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