2023年10月

47 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

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野ざらしを心に風のしむ身哉  芭蕉
 

 貞享元年(1684)8月~貞享2年4月末 芭蕉41歳の時、門人千里を伴い、初めての文学的な旅に出る。東海道を上り、伊勢山田・伊賀上野へ。千里と別れて大和・美濃大垣・名古屋・伊賀上野へ帰郷し越年。奈良・京都・大津・名古屋を訪ね、江戸へ帰るまでの9か月にも及ぶ旅である。『野ざらし紀行』(43句)と言われる。


116 『名句の所以』(著:小澤實)から

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月涼し脳を出で入る健忘神  林翔
 

 健忘症のことを健忘神と表するあたりが素晴らしい。我知らぬうちに突如くる物忘れ、70前になって珍しくもないが確かに自分とは関係のないところでまるで神さんのいたずらのように来る。まるで夏の夜の月のようにケロッと思い出す涼しさも共感、である。



46 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

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髭風ヲ吹て暮秋歎ズルハ誰ガ子ゾ  芭蕉
 

 天和ニ(1682)年 作。前書に「憶老杜」。秋風に髭を吹かれながら、暮秋の哀れを嘆いているのは、いったい誰なのであろう、の意。老杜とは杜甫をさすらしい。尊敬する杜甫に己れを重ねての漢詩風に倒置法で一句をなしたものであるらしい。


78 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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倏忽に時は過ぎ行く秋の雨  虚子
 

 秋の日は冬に比べればゆとりがあるが、それでも日に日に短くなって行くように感ぜられる。倏忽(シュクコツ)とは、初めて目にし使った漢字であった。たちまちに、とかすみやかにといった意味であるらしい。この字さえ解ればあとは、そういうことである。




115 『名句の所以』(著:小澤實)から

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蝋燭の焔の瑠璃や夏の暮  山西雅子
 

 蝋燭の焔の色を細かく正確に見て俳句にした。確かに蝋燭の色の中には瑠璃色がある。しかし、私なんぞは青ですませてしまいそうである。念のためために瑠璃色をネットで調べてみた。ほーら青じゃん(笑)。


ギャラリー
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