2023年12月

122 『名句の所以』(著:小澤實)から

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岩灼くるその岩かげの雪あはれ  石橋辰之助

 夏の登山を詠んだものであろう。日によって岩場は焼けているのだが、その岩陰の雪は雪として残っておりなんともしみじみとした趣があるのである。相当に高い山であたりの空気も澄み渡っている。この境地を伝えきっていることが素晴らしい。


 


53 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

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冬牡丹千鳥よ雪のほととぎす  芭蕉

 本来夏に咲く牡丹を冬に見て千鳥の声を聞くのは本来夏に聞くほととぎすを雪の中に聞くように珍しく美しい。と幻想美を浮かび上がらせたものと解した。



84 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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焼芋がこぼれて田舎源氏かな  虚子

 この句、田舎源氏の意味が結構難しい。源氏というのをかの光源氏のことと解し、いわばええかっこしいの田舎のシティボーイが焼き芋をこぼれ落として、ダサってなったシーンと解したのだが、この鑑賞文こそが田舎源氏そのものとなってしもうたワイ。






121『名句の所以』(著:小澤實)から

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我を撃つ敵と劫暑を倶にせる  片山桃史

 作者は昭和十九年、東部ニューギニアで戦死とある。

「劫暑」とはものすごい暑さのことである。兎にも角にも戦争で撃ち合う状況の俳句である。私の父は当時、姿勢に傾きがあったことで殴られ、左耳に難聴があった。

そういう教育と戦いの中で敵と劫暑を倶に、と俳句にする心根。同194410.25 海軍神風特攻隊,レイテ沖で米艦船に体当り、との記録もある。


 

52 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

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いかめしき音や霰の檜木笠  芭蕉

 何と激しく厳しい音のすることよ。にわかに降り出した霰が檜木笠にあたって跳ね返る音は、の意味であるらしい。貞享元年(1684)年説が多数。いかめしきと音を言い切ったところにこの句の良し悪しが分かれる、私は底の浅さを感じるのだが、、、。


ギャラリー
  • 2012年(平成24年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2012年(平成24年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2012年(平成24年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2011年(平成22年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2011年(平成22年) 冬 大文字良第一句集『乾杯』より
  • 2010年(平成22年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2021年(平成23年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
  • 2021年(平成23年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
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