2024年07月

132 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

Ryo Daimonji Blog

ひしひしと黒門の夏木立かな  虚子

 東京の上野寛永寺、目黒不動滝泉寺や、大阪の四天王寺のものが有名な黒門であるそうな。虚子さんは関西人なので四天王寺を指しているのか、全く確信はない。黒門沿いにある夏木立が強く身に迫って感じられることよ。と黒門に並ぶ夏木立の厳しいまでの存在感を詠んでいると解するが、黒門がピシッと特定できずもどかしいことだ。





169 『名句の所以』(著:小澤實)から

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ふとわれの死骸に蛆のたかる見ゆ  野見山朱鳥

 妄想の果てなのか、夢にであったか朱鳥は己の死骸に蛆がたかる景を見ている。確かに氏は病弱で長年結核と闘われている。しかしその間に結婚もしホトトギスの巻頭にも達しておられる。享年52歳はいかにも惜しい歳であるが、死因は肝硬変であったようだ。


102 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

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さゞれ蟹足はひのぼる清水哉  芭蕉

 上五「さざれ」は小さい、という意味。いわゆるちいさな沢蟹のことでそれが足をはいのぼると読んだ。そのことで下五清水の清涼感も遺憾なく伝わる。

季語は「清水」である。「蟹」もまた夏の季語であるので、一句に同じ季節の季重なりは、問題なし、とする根拠にしてもいいのではないかと思う。




131 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

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十抱への椎の木もあり夏木立  虚子

 さまざまな夏木立が緑を蓄え、猛暑の中にある。そのなかに「十抱への椎の木がある」この「十抱へ」がわからない。椎の木を形容しているのだと思うのだが、具体的に十と数をいう。私は「とおかかえ」と読んでその大きさを表現するものと読んだが、確信がない。



168 『名句の所以』(著:小澤實)から

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塵取の手にも夕べの蜘蛛の糸  鈴木花蓑

 塵取をもつ手にも蜘蛛の巣がくる。蜘蛛の巣もろいろではあるが、早朝や夕方に風に乗って手に絡みついてくることがある。そういう蜘蛛の糸なのだと思った。「夕べの」に過去詠嘆の感もするが、ここでは只今の夕べのことであろう。鈴木花蓑氏は、明治14年生まれ、高浜虚子門であった。


 


ギャラリー
  • 2012年(平成24年)  冬 大文字良 第一句集『乾杯』より
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