Ryo Daimonji Blog
 

夕顔に見とるるや身もうかりひよん  芭蕉
 

「うかりひょん」は何かに魅了されてぼーっとなっているさまをいうらしい。夕顔の美しさにみとれてぼーっとなってしまったというのである。寛文七年(1667)二十四歳の作。万治元(一六五九)年の「鉋屑集」(かんなくずしゅう・胤及編・万治二年刊)に、「俊之」という別人の句として、夕顔の花にこゝろやうかれひよんという酷似した作品が既にある。確かに近似するが上五中七の「夕顔の花にこゝろや」と「夕顔に見とるるや身も」とは、明らかに同じとは言えないと思うのだが。