Ryo Daimonji Blog

人殺ろす我かも知らず飛ぶ蛍  前田普羅

 
人間には拍子ということがついてまわる。誰しもどんな拍子で人を殺めるような運命が待ち受けているかわからない。流石に七十にリーチがかかった私にはそういう心配はほとんどなくはなったが、若い頃であれば、わからない。山岳俳句の名手と言われる氏である、純化された感覚がとらえたこの句にはそういった氷の刃のような鋭い危うさがある。