Ryo Daimonji Blog

あそび来ぬ豚釣りかねて七里まで  芭蕉

  天和四年(貞享元年/一六八四)の作。豚釣にあそびに来て釣れぬまま七里まで来てしまった。『万葉集』巻九・一七四の「水江の浦島の子が、堅魚釣り鯛釣りかねて、七日まで家にも来ずて」。凝りに凝った、念入りな本歌取りであった。

東海道の宮宿と桑名宿の間、伊勢湾を渡る「七里の渡し」を詠む貴重な句とある。(「芭蕉の風景〈上〉小澤實 ウエッジ)