Ryo Daimonji Blog

ほとゝぎす月上弦の美濃路行く  虚子

 美濃の街道を行く頃には空には上弦の月がかかってをり、ほととぎすの声が聞こえた。さて、この場合のほとゝぎす、月上弦の二重季語はどう解すべきか、私はこの句の主季語を上弦の月と解し、ほとゝぎすを従たる季語と解します。美濃路を行く空の上弦の月をこそ主題として詠んだものであり、ほとゝぎすは別の景を取り合わせとして置いたものと解するからです。