Ryo Daimonji Blog

秋草の名もなきをわが墓に植ゑよ  虚子

 秋の花、たとえば萩であるとか菊、はたまたかれんな竜胆など。虚子翁に似合う花はいくらでもあるでしょうに、名もなきをと言う。煩わしき現生を終えたなら静かに名もなき秋草とともに眠りたいとおっしゃるのか。かくも名声をはくされた虚子翁の本音の一句は、ナルシズムに満ちたこの句でありましたか。