Ryo Daimonji Blog
茶の花に黄檗山を立ち出でし 虚子
黄檗山は京都府宇治市にある黄檗宗大本山万福寺の山号で、隠元というお坊さんが礎を築かれたと仄聞してきた。
宇治といえばお茶の名所でもあるのだが、虚子翁が万福寺でいかように過ごされたかまではこの句だけではわからない。上五を「茶の花に」とされているところから、茶の花が何がしかの原因となってその場を去ることになった忙しさが伝わるのである。ただ、その忙しさを茶の花のせいに仕立てるあたりがやはり只者ではないのであった。