Ryo Daimonji Blog

走るやうに枯野を通る灯かな  虚子

 こういう遭遇した一場面を句にした場合、読者はその五七五文字で読む他ない。灯が走るように、相応の速度のようなのだか車なのか電車かあるいは人間なのか、私は、灯をあかりと読んで人間と解した。枯野の闇を恐れているのか、急ぐ用事に追われているのか、ともあれ枯野を走るほどに急いで行く灯を作者はみている。この句は想像句と思う、作者とその灯との関係性が見えないからだ。