Ryo Daimonji Blog

隣から寒夜とひ来る裏戸かな  虚子

 特段の用事があるわけではない。裏口から隣人が、「寒いねぇ」とか言ってのぞき来る。本当に来たかどうかは疑わしいのだが、虚子さんの人恋しさはこういう作品にさりげなく出る。おそらくそんな気安い近所づきあいの呼吸が虚子さんは好きなのだが、なかなかそういうわけにはいかない。