Ryo Daimonji Blog

これや世の煤にそまらぬ古合子  芭蕉

 この句は、大阪の旅宿に捨て置いたものを七年後に粟津まで届けてくれました。と路通が芭蕉翁に話したことによる(小学館 松尾芭蕉集①全発句)。

 合子とは、身と蓋とからなる小さい容器のことで、蓋物とも言われるようだ。塗りによるのだろう、その古びた合子が歳月や世の煤にも染まることなくつやつやとあるのだ、その美しさを句に仕上げた。 
 季語は「煤にそまらぬ」から即興的に「煤払」で冬。