2025俳句甲子園 (書肆アルス)

第3会場

○天牛の油を差せばよく飛ばむ   (開成高等学校B)

天牛のしづかに落ちて裏返る   (星野高等学校B)

(○印は3句戦の結果でこの2句の優劣ではない。)

  本当に天牛って見れば見るほどおもちゃのように可愛い虫だ。

開成Bはそのことを油を差せば飛ぶ、とその人工的な感じを俳句にした。他方星野Bはいわゆる見たまんまの客観写生に徹した。

  俳句の難しさがここにある。星野Bの句が生きるか死ぬかはその前後に並べる句による、客観写生句の存在意義というのは作者が見せる作者の生存環境、作者の人生、世界によって変わるものと私は考えている。従って俳句というものは句集にして初めて意味が出るのだが、その始まりの一句は客観写生句にはじまると思うのである。